その25(10話)241【夢ふうせん】 夢ふうせんって知ってる? え、知らないって。 希望の息でふくらませたふうせんだよ。 だれでも1つや2つ、もってるはずさ。 きみんちの押入れをあけてごらんよ。 ほら、奥のほうにあったでしょ。 パンパンにふくれたふうせんがさ。 なんだって、しぼんでるって。 そりゃたいへん、ってわけでもないよ。 枕にして使うときが来たってことだよ。 水枕だよ。 あたまをのせてごらん。 ヒンヤリしてさ、きもちいいだろ。 きみが息をひきとると同時に、夢ふうせんは ぺったんこになって、役目を終えるんだ。 かなえられるといいね、さいごのねがい。 --------------------------------------------------- 242 【ニッポン人の定義36】 できない理由を考え出す天才。 あ、わたしでした。 --------------------------------------------------- 243 【ゆらりん】 ぶらんこだらけだ。人が乗ってる。2つでワンセット。 整然とならんでる。いつもゆれてる。 雨が降ってもゆれている。風が吹いてもゆれている。 ゆらしながら眠ってる。ゆらしながら食べている。 立ち乗りは厳禁だ。ギコギコに油を刺すのも座ってやる。 大きく振ってぴゅっぴゅっと刺す。 必需品は手渡しだ。タイミングが大切だ。 前後、左右、斜め。アイコンタクトと掛け声。 おでん入り鍋もこぼさず渡す。 年に2、3度鐘が鳴る。鐘が鳴ったらシャッフルだ。 みんな同時に宙にとび、別のぶらんこに移動する。 いす取りゲームかターザンか。 やどかりドミノところてん。 たまに男女が一緒に乗ってる。 むきあってだっこスタイル。同方向にバックスタイル。 まれに一方逆立ちしてる。 愛を確かめ合っている。 きみもおいでよ、ぶらんこの国。 ぶらんこだらけ、ぶらぶらゆらりん。 ゆれてゆらしてゆられてゆらりん。 待っているから、かならずおいで。 --------------------------------------------------- 244 【あっちっち~宇宙の法則5】 そのお星様は、若いころ、勉強のし過ぎで近眼になりました。 今はしわしわのおばあちゃんです。 だから、老眼です。 近くのものがぼやけてよく見えません。 手もとを見るとき、むしめがねを使います。 「どれどれ、惑星はどんな具合かの。 いつもながら興味が湧くせえ」 などと、くるしいダジャレをとばしながら、まわりの星を観察します。 「あ、なんか焦げくさいぞ。惑星だけに、わっ、くせえ。なーんてのう」 じっと見つめている衛星の、ある地点から、煙が上がっています。 「あ、またやっちまったわい」 急いでむしめがねを放り投げます。 太陽さん、だいぶボケてきたみたいです。 はい、これが地球上で起きる山火事や熱波などの自然災害です。 これホント。 --------------------------------------------------- 245 【ニッポン人の定義37】 マラソン中に無謀なダッシュやパフォーマンスをする人種。 --------------------------------------------------- 246 【あの世の手前~タポ郎の場合】 背が低いのを憂えて、タポ郎が首を吊ると── 身長が8センチ伸びた。 神様の思し召しだ。 ちなみに舌も10センチほど伸びた。 --------------------------------------------------- 247 【ニッポン人の定義38】 いつでも簡単に洗脳and扇動されて‘一億火の玉’になり得る人種。 --------------------------------------------------- 248 【ニッポン人の定義39】 不正をかばい合っているうちに疑問が持てなくなっていく人種。 (これ、社内報に載せたやつ)。 --------------------------------------------------- 249 【田んぼのスズメ~ヤンデルセン童話】 「チュンチュン。こんにちは、案山子さん。チュンチュン」 「プンプン。こんにちは、スズメさん。プンプン。 って、怖がってくれなきゃ困るよ。プンプン」 「チュンチュン。エヘヘ、もう慣れちゃった。チュンチュン」 「プンプン。そうなのかい。それじゃあ僕、お払い箱だね。プンプン」 ◇ 「チュンチュン。こんにちは、ぴかりんテープさん。チュンチュン」 「きらりん、ぴかりん。こんにちは、スズメさん。きらりん、ぴかりん。 って、まぶしくないの? きらりん、ぴかりん」 「チュンチュン。ウヘヘ、もう慣れちゃった。チュンチュン」 「きらりん、ぴかりん。そう。じゃあわたし、もう用なしね。きらりん、ぴかりん」 ◇ 「チュンチュン。こんにちは、鳥追い大砲さん。チュンチュン」 「ドッカーン。こんにちは、スズメさん。ドッカーン。 って、おどろけよ。ドッカーーーーン」 「チュンチュン。ホヘヘ、もう慣れちゃった。チュンチュン」 「ドッカーン。そうかい。んじゃ、おいどん、いらねえな。ドカン」 ◇ 「チュンチュン。あーあ、みんないなくなっちゃった。チュンチュン。 これでだれにも気兼ねせず、おもう存分お米をついばめるぞ。チュンチュン。 それにしてもこのごろ、妙な味がするなあ。チュンチュン。 ブハッ。ペッ! ペッペッ! ケッ、もうこんなの食えねえや。チュンチュン」 --------------------------------------------------- 250 【公園のうぐいす~さりげない話】 お。きょうも鳴いてるぞ。 けっこう近いなあ。 あ。あそこの枝の先だ。 おもったより小さいんだなあ。 気持ちよさそうに鳴いてるなあ。 毎日すこしずつうまくなっていくなあ。 でもいまいちだなあ。よし、アドバイスしてやろう。 「おーい、うぐいすくーん。もうちょっとビブラートを効かせて、 シャープ気味に裏声にして、フェルマータ気味に……」 「ホーーー、ホットケー!」 ジャンル別一覧
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